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明日から始めよう

管理人ユウが思ったこと、感じたこと、考えたこと                                    Twitter:I_am_You4321 https://twitter.com/I_am_You4321

【時節】祖母の愛と運命の糸

時節

10月の初旬に祖母が96歳の生涯を終えた。

9月の終わりに

「婆ちゃんが意識不明になった、明日かもしれないし一ヶ月後かもしれないけど、覚悟しといて」と連絡を受けて。

遂にこの時が来たか、と覚悟した。

ずっと目を背けてきた祖母の死が。

 

僕は祖母に愛されていた。

偏愛されていた、えこ贔屓されていた。

だから、祖母を愛していた。

多分家族の中で父と同じぐらいには。

 

でも、老人ホームにいった祖母は僕のことを忘れた。

「誰か分からない、けれど母親の側にいる男の人」そんな認識。

悲しい現実、そこで明るく振舞うことがボクにはどうしても出来ずにいた。

 

夫を早くに亡くし、高校生の息子をバイク事故で亡くした祖母。

祖母のことを思うと、心が平静でいられなくなった。

だからユウは「考えることを辞めた」愛も情けも必要ないから。

 

祖母が亡くなったのは電話を受けてから、1週間ほどが過ぎた頃の朝早くだった。

その日「僕はすぐに実家に帰りたかった」

でも葬式の用意があるから「明日帰ってくればいい」と言われた。

 

今思えば、仕事を休むべきだったかもしれない。

一日、休んで泣いてから、実家に帰るべきだったかもしれない。

 

でも、僕は仕事に行った。

仕事に行ってNさんに直接「明日と明後日、忌引きを頂きたいのですが」と持ちかけた。

Nさんは「分かりました、こちらから先方に伝えておきます」と受けた後に

声を顰めて「ちなみに・・・差支えが無ければどなたが・・・」とNさんにしては歯切れが悪く聞いた。

僕は「祖母です」とだけ言った。

Nさんは「ありがとう」それだけ告げて、離れた。

 

その日、仕事をした。

いつも以上に頑張った。

2日休むからその分をやっておかなければ、そんな思いで。

 

帰り際に突然お休みを頂く形を詫びるため、Tさんに挨拶をした。

「明日、明後日突然のお休みを頂いてすみません」

Tさんはわざわざ立ち上がって「いえいえ・・・凄く今日進めて頂いたみたいで・・・」

「明日、明後日の分までやろうと思いました、来週からまたお願いします」

Tさんは「こちらこそよろしくお願いします」そうやりとりをした。

 

祖母の死なんて微塵も感じさせず「完璧」を演じきった自分。

なんて冷たいんだろう、愛を感じていた祖母が亡くなったのに。

 

帰り際に、多分、Nさんは心配してくれたのだ、そんな自分を。

「もし・・・何か来週も帰れないことになったら遠慮無く言って下さい、○○さんは休んでも取り戻せる人だから」と声をかけてくれた。

この時自分が「笑顔」を浮かべて「大丈夫だと思います、ご親切にありがとうございます」と返したことを一生忘れない気がする。

 

「何が大丈夫なんだ、お前は、悲しくないのか。

自分を愛してくれていた祖母が亡くなったら涙の一つぐらい流すのが「人間」だろーが!」

そんな自分の中の誰かの声が聞えた気がする。

 

結果的に、自分はこの日泣かなかった。

そして葬式の日も泣かなかった。

 

いつしか「祖母の死」を受け入れている自分がいることに「自己嫌悪」を抱いていた。

 

でも、目が覚めた今なら思うことがある。

従姉妹は祖母が亡くなる数日前に結婚式を挙げていて。

「きっと結婚式が終わるのを待っててくれたんだ」と口にしていた。

 

その言葉が今なら良く分かる。

祖母の「愛」は、自分が忘れられたことで「痛み」に変わっていた。

 

偶然と呼ぶには、出来すぎている現象、それを「運命」と定義するならば。

きっと祖母の死は「自分にとっての転機」だった。

前に踏み出す為に、清算しなければいけない「過去」だった。

 

Tさんとの出会い、後輩の突然の退社、祖母の死、Nさんとの繋がり。

どれが一つ欠けても、今の自分は無かったに違いない。

 

ありがとう、婆ちゃん。

僕は婆ちゃんが言うような出来た孫じゃなかったけれど。

今からは婆ちゃんに褒めて貰えるような自分を作っていくよ。

 

だから、見守っていて欲しい。

天国があるなら、そこから。

幽霊がいるなら、どこでも。

きっと、僕は自分に胸を張って、この先を歩いていくから。